会長挨拶

「はじめに」

 

 全国学校調理師連合会の総会も第17回目をむかえました。現在全国で60名近くの会員が多岐に渡る調理専門職の調理師として集まり、それぞれ各自の調理技術・技能向上を図り、意欲の高揚を目指してきました。また、当会の志に賛同して頂いた法人様より賛助会員としての多大なご協力を頂いております。

 

新型コロナウイルスが国内で発生して2年以上が経ち、第1波~第6波と回を重ねる毎に菌が強くなり感染者も増えています。ワクチン接種は第3回目を迎え高齢者の死者数は減っていますが、第6波では子供の感染者が急増し保育所・幼稚園・小中学校・高校と学校閉鎖・学級閉鎖が相次ぎ社会問題となりました。私たちの各職場でも家庭内における感染・濃厚接触者による休職での人員不足等により様々な問題が続いております。

また、コロナにより世界の物流の停滞・物価上昇が問題になるなか、ロシア軍によるウクライナへの軍事進攻で多くの市民が犠牲となる痛ましい惨事が起こっており、終焉の目処がたっていません。ロシアへの経済制裁をNATOG7で行っていますが、長引く戦争で更に経済に暗い影を落としています。早く戦争が終わる事を願うばかりです。

 

近年、自然災害やコロナでの自宅療養等で、災害時における自宅での食糧の備蓄(ローリングストック)・非常持ち出し物の喚起が以前より増している様に感じられます。私たち食に関わる者として日頃から「食品ロス」にも目を向けなければいけないと思います。食品ロスとは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品の事です。令和元年度の統計では、日本の食品ロスは約570万トン 事業系では309万トン 家庭では261万トンで、国民1人当たりの食品ロス量は、1日約124g年間にすれば約45㎏ この量は1人あたり毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てている量に近いです。「食品ロス削減推進法」が令和元年531日に公布され、令和元年101日に施行されております。その前文では、

 

・世界には栄養不足の状態にある人々が多数存在する中で、とりわけ、大量の食糧を輸入し、食料の多くを輸入に依存している我が国として、真摯に取り組むべき課題であることを明示

・食品ロスを削減していく為の基本的な視点として、国民各層がそれぞれの立場において主体的にこの課題に取り組み、社会全体として対応していく様、食べ物を無駄にしない意識の醸成とその定着を図っていく事、まだ食べる事が出来る食品については、廃棄することなく、出来るだけ食品として活用していくことを明記しています。

まず私たち個人として取り組むことが大事ですが、事業者にも責務が課せられています。食品リサイクル法も制定され、再生利用の促進として例えば、食品の製造・加工過程・流通過程・販売過程・調理や食事の提供過程にも工夫する様あり、指導や勧告などの措置もとられております。個人・生産者・企業・国が取り組み、それが世界への食品ロスに繋がる様に努め、継続していくことが大事だと思います。

  

本来「食べる事」は生きる為に不可欠なものでありますが、人間社会では文化までにも影響を及ぼす行為である事は、改めて申すまでもございません。子供の成長発達途上においても食生活の影響は無視出来ないもので、それは私達大人の日常生活とも深く関係している事は言うまでもありません。

 私達は、直接には学校・保育所・あるいは施設で、調理作業を通して健康的な食生活の一端を担っています。「食」を担当する調理師がどの様な形で社会的責任を担えば良いかしっかり認識し、この会を皆さんの協力の下一緒に発展させていきましょう。現在、関東地方から広島・四国地方まで全国広範囲に会員を要し、コロナ禍ではありますが横の繋がりと縦の繋がりを密にして組織の強化を図っております。

 

 前年度から続くコロナ禍において感染拡大防止の為、冬期・夏期研修会は中止とさせて頂き、多くの行事を見送るしかございませんでした。今年度も様子をみながら検討していきたいと思っております。この様な状況ではございますが、引き続き多くの会員の皆さんが参加し情報交換できる様に努め、会報誌「はぐくみ」の発行・会員間のIT活用などで、情報力の強化にも努めてまいります。

 

 昨今の厳しい社会情勢に負けない組織として、会員皆様の志をひとつにして取り組まなければならない時期になってきた事を改めて認識し、新しい期に向かって更なるご協力のほど、宜しくお願い致します。

2022年5月吉日

全国学校調理師連合会

 

会長 谷本厚美