会長挨拶

「はじめに」

 

 

 

 全国学校調理師連合会の総会も第18回目をむかえました。現在全国で50名近くの会員が多岐に渡る調理専門職の調理師として集まり、それぞれ各自の調理技術・技能向上を図り、意欲の高揚を目指してきました。

 

 

 

 国内で新型コロナウイルスの発生が20201月に確認されてから3年が経ちました。その間、緊急事態宣言が何度か発令され、私達の職場や生活環境が大きく変わりました。又、ロシア軍によるウクライナへの軍事進攻で多くの市民が犠牲となる痛ましい惨事が続いており、終焉の目処がたっていません。ロシアは豊富な天然資源を有しており、特に石油や天然ガスの生産・輸出の多いエネルギー大国です。ロシアへの経済制裁をNATOG7で行っています。その制裁のひとつがロシアの石油やガスなどの輸入を禁止・制限する事です。

 

ロシアにとって大きな制裁と言えますが、同時にロシアから輸入していた石油やガスを使えなくなった国では供給不足やエネルギー価格の高騰が起こっています。日本でも物流の混乱・円安・資源高に伴うエネルギー等の生活に身近な品目の値上がりが続いています。ウクライナ・ロシア共、多くの人達が命を落としています。早く戦争が終わる事を願うばかりです。

 

 

 

 〝食〟に関わる身近な事では、20234月より「遺伝子組み換え食品」の表示の法律が一部変更となり、食品に記載の表示方法が厳しくなりました。「遺伝子組み換え食品」とは、別の細胞から取り出した有用な性質を持つ遺伝子を、その性質を持たない植物の細胞の遺伝子に組み込ませ、新しい性質を持たせた作物及びこれを原材料とする加工食品です。現在厚生労働省により安全性が確認され、日本で輸入が認められている作物は、大豆(枝豆及び大豆もやしを含む)・トウモロコシ・馬鈴薯・なたね・綿実・アルファルファ・てん菜・パパイヤ・からし菜の9品目です。

 

 

では、どう変わったのか?以前は遺伝子組み換え・遺伝子組み換え不分別はどちらも義務表示でした。変更後も義務表示は変わりありません。ただ、遺伝子組み換えでない物が2通りの表示(任意表示)に変わります。「遺伝子組み換えでない」と表示されていれば100%遺伝子組み換えでない物が使われていると認識していました。また、生産者(製造者)も混入しないよう管理していますが、意図しない5%以下の混入の可能性が残るとあれば、分別生産管理済(等)と表示出来ます。(任意表示)混入が無い(不検出)の場合は従来通り遺伝子組み換えでないと表示出来ます。(任意表示)ぜひ購入される食品の表示をご覧になってみて下さい。

 

 

 

 

本来「食べる事」は生きる為に不可欠なものでありますが、人間社会では文化までにも影響を及ぼす行為である事は、改めて申すまでもございません。子供の成長発達途上においても食生活の影響は無視出来ないもので、それは私達大人の日常生活とも深く関係している事は言うまでもありません。

 

私達は、直接には学校・保育所・あるいは施設で、調理作業を通して健康的な食生活の一端を担っています。「食」を担当する調理師がどの様な形で社会的責任を担えば良いかしっかり認識し、この会を皆さんの協力のもと、一緒に発展させていきましょう。

 

 現在、関東地方から広島・四国地方まで全国広範囲に会員を要し、コロナ禍ではありますが横の繋がりと縦の繋がりを密にして組織の強化を図っております。

 

 

 

 2020年から続くコロナ禍において、冬期・夏期研修会は中止とさせて頂き、多くの行事を見送るしかございませんでしたが、前年度より総会・冬期研修会は対面方式で行う事が出来ました。皆さんとお顔をあわせて生の意見の交流が出来た事に改めて人と人との繋がりの大切さを感じました。

 

313日からマスクの着用は個人の判断が基本となり、58日にはインフルエンザと同じ5類に移行しました。その事を踏まえ、今年度も様子をみながら交流の在り方を検討していきたいと思っております。この様な状況ではございますが、引き続き多くの会員の皆さんが参加し情報交換できる様努めます。

 

また、会報誌「はぐくみ」の発行・会員間のIT活用などで、情報力の強化に努めてまいります。

 

 

 

 昨今の厳しい社会情勢に負けない組織として、会員皆様の志をひとつにして取り組まなければならない時期になってきた事を改めて認識し、新しい期に向かって更なるご協力のほど、宜しくお願い致します。

 

 

2023年5月吉日

全国学校調理師連合会

 

会長 谷本厚美